全国果樹研究連合会(全果連)は8月25日、第55回全国ブドウ研究大会長野県大会実行委員会との共催で第55回全国ブドウ研究大会長野県大会を、Webにて開催した。Webでの開催は、コロナ禍により初めての試みとなったが、全国のブドウ生産者や指導機関の関係者約620名が出席した。
今回の第55回大会は「次世代のブドウを考える〜需要を創造する品種構成と生産販売」を大会テーマとして映像配信による園地視察とパネルディスカッションが行われた。
園地視察・パネルディスカッションに先立ち、原野博氏(全果連ブドウ部会長)並びに久保田純司氏(第55回全国ブドウ研究大会実行委員会実行委員長)より、主催者あいさつを行った。
全果連会長賞は、JAながの須高ぶどう部会の小池捷一氏が受賞した。小池氏は、平成15年に種無しぶどうの消費需要の高まりを受け、部会長としてナガノパープルをハウス・露地に導入し、早期成園化を進めた。また、栽培当初より課題とされた「裂果」に積極的に向き合い、ナガノパープルの安定生産技術の確立・普及に貢献され、管内及び県下の産地振興・発展に寄与した。
続いて、園地視察として須坂市の上野好章氏のナガノパープル園地、中野市の藤沢正実氏のシャインマスカット園地、長野県果樹試験場の映像配信と概要説明がされ、活発な質疑応答が行われた。
続いて、「需要創造に向けた生産販売の課題」をテーマに、鈴木剛伸氏(長野県農政部農業技術課副主任専門技術員)の司会により、パネラーに小宮山昭彦氏(全農山梨県本部営農販売部果実園芸課長)、松田成美氏(山形県農林水産部農業技術環境課果樹技術専門員)、岡本彰夫氏(岡山県果樹研究会副会長・ぶどう部会部長)、佐藤勝男氏((一財)長野県果樹研究会ブドウ部会長)、嶽下祐人氏(大果大阪青果渇ハ実部課長)、前島勤氏(長野県果樹試験場栽培部長)、山岸順一氏(全農長野県本部生産販売部副部長兼果実花き課長)、二藤努氏(全果連常務理事・日園連業務部長)が登壇され、「シャインマスカット」の今後の生産量と栽培の課題や輸入ブドウの周年販売による国産ブドウへの影響について、また次なる生産販売戦略に向けてパネルディスカッションが行われた。
最後に、以下の「大会決議」を全会一致で採択し、閉会した。
【大会決議(要旨)】
1.安全で・おいしく・食べやすく・美しい、消費者に好まれるブドウづくりを実践する。
2.新技術の研鑽・研究に励み、軽労化・低コスト、高品質・安定生産により、経営の安定化を図る。
3.全国ブドウ産地の団結と連携強化を図り、魅力ある国産ブドウ産業と産地づくりを進める。
4.国産ブドウの安全性をアピールし、「毎日くだもの200グラム運動」と「食育」活動を積極的に展開し、消費拡大に努める。
(日園連業務部生産振興課)